今日本では選挙の話題で盛り上がっていますが、ヨーロッパでも9月にドイツ、先週はオーストリアで国政選挙が行われました。
それぞれが驚きの結果に…。
ドイツの選挙制度
ドイツは連邦制の国家で、日本と同様、議院内閣制をとっています。
議会が連邦議会と連邦参議院、2つ存在するのも日本と同じですが、参議院の方は州政府の代表者。
国政選挙というと連邦議会の選挙を指します。
選挙制度へのこだわり
政治に関して、超安定志向のドイツ。
小選挙区と比例代表を併せる部分も日本と同様。
ただし、比例代表の方は一定の得票率を得ないと議席を獲得することが出来ません。
本来、比例代表制というのは少数政党でも議席を獲得できるという特徴があります。
しかし少数政党の乱立による政治的混乱がきっかけでナチが台頭したという歴史があり、そのあたりには敏感なんです。
息のながーい政権運営
また国政選挙は例外的事態が起きない限り4年に1度。オリンピックと同じ。
首相を辞めさせたいだけの不信任案も認められていません。
これも政権や首相がコロコロ変わることによる政治的混乱を防ぐため。
現に今のメルケル首相はすでに12年、今回の当選で何事もなければ16年在任することになります。
その間日本の首相はなんと8人…。長命だった小泉政権ですら5年ですからね、メルケル恐るべし。
実際ドイツではメルケル首相は人気です。
彼女の在任中、不況にあえぐユーロ圏の中で、唯一ドイツ経済は好調(国家財政黒字!)、雇用率もむちゃくちゃ高い(南部に至っては完全雇用状態)。
その上、その辺のスーパーでお買い物している目撃情報も寄せられる、庶民的?な人柄。
向かうところ敵なし!だったのですが…。
2017年ドイツ選挙
新聞の見出しはこうでした。
「メルケル氏のむなしい勝利」
元々選挙前からメルケル氏の再選は確実視されており、他の政党がどれだけ議席を獲得し、どう連立を組むかが注目されていました。
しかしいざ蓋を開けてみると、前回議席ゼロだった反イスラム・反移民・反ユーロ派の極右政党「ドイツの選択肢」が、94議席を獲得し、第3党に躍り出たのです。
スローガンは「自分たちの国と民族を取り戻す」。
大戦後、初めて議会に右翼政党が進出することとなりました。
この結果は、寛大な移民政策を進めてきたメルケル首相にとって、大きなショックでしょう。
オーストリアでは最年少首相誕生か
また先日オーストリアでも総選挙が行われました。
長らく中道左派が政治を支配していたオーストリア。
クルツ外相率いる中道右派の国民党が、15年ぶりに第1党の座を奪還しました。
既存政治の打破を訴え、若者の支持を多く集めたようです。
おそらくそのままクルツ氏が首相となり、反移民政策を唱える政党と連立を組むと思われます。
そのクルツ氏、なんと31歳。
そもそもドイツやオーストリアの被選挙権は18歳。
日本の衆議院で25歳ですからね。
若者の政治への関心の低さの遠因となっている気がするのですが…。
欧米諸国の右傾化
今回の諸選挙で浮き彫りになったのが、反移民の右翼勢力の拡大。
先日行われたチェコの総選挙も、極右政党が第2位まできました。
アメリカのトランプ大統領も極右。
フランスの大統領選挙でも、極右政党のルペン氏が当選直前までいきましたし。
なんとなく不穏なかおりが漂います。
ただもし日本政府が移民受け入れを積極的に行ったら、同じようなことになるんじゃないですかね。
日本の若者よ、選挙に行こう!
あとこちらの選挙を見てて思うのは、若者の力が強い!
それぞれの右派政党の躍進は、いずれも若者たちの支持によるものでした。
結果の良し悪しは別として、日本の若者にそれだけ政治を動かす力があるのか…?
ドイツの投票率は70%以上、20代以下でも60%を超えています。
一方日本は全体で50%越える程度、若者に至っては30%。ドイツの半分。
この原因は、日本人特有の人任せな気質にも由来するだろうし、
日本の政治教育が根底の原因にあるだろうし、
すぐ解散総選挙をしたがる政治家にも大きな問題があると思います。
一回の重みがね…
しかし自分たちが暮らす国なんだから、自分たちが住みやすい国にする努力はするべきですよね。
よく言われていることですが、支持政党がなくても、投票は必ずしましょう。
台風が来ようと。
政治家は若者が票入れてくれないのに、若者のための政策を打ち出しても当選できませんもの。
僕は政治的発言は公にはするつもりはありませんが、自分たちのために出来るちょっとしたことをやらないのはもったいないぞ日本人。
外国に出てみて改めて感じた次第でした。
…珍しく全編まじめで虫唾が走る。