先日行われましたM-1グランプリ2017、遅ればせながら全て鑑賞しました。
実は僕、こう見えて(何も見えてない)三度の飯くらいお笑いが大好き。
何か辛いことがあると、決まってお笑い動画を観るんです。
真っ暗な部屋の中、スクリーンに死んだ顔を照らされながらフヒッフヒヒッ…としている様はむしろホラーですが、見終わったあとは嫌なこともどうでもいいと思えるようになるんですよね。
笑いの力って偉大です。
さてそんな僕ですから、M-1グランプリはもちろん毎年チェックしてます。
…が、結論を先に言うと、今年は特に胸を打たれました。
そんな感動のM-1グランプリ2017を振り返ります。
M-1グランプリ2017
ネタ順
1…ゆにばーす/626点
2…カミナリ/618点
3…とろサーモン/645点
4…スーパーマラドーナ(敗者復活)/640点
5…かまいたち/640点
6…マヂカルラブリー/607点
7…さや香/628点
8…ミキ/650点
9…和牛/653点
10…ジャルジャル/636点
決勝
とろサーモン/4票
ミキ/0票
和牛/3票
とろサーモンの優勝
結果は結成15年目のとろサーモンが、ラストチャンスで初の決勝進出、栄冠を手にしました。
昔から大好きだったこのコンビの悲願は、感慨深い…。
ツッコミの村田(左)はドラマ版「火花」で売れない芸人役を演じ、はまり役だったそう。
実際、嫌われキャラでバラエティに出てた久保田に比べて、確かに印象の薄い芸人でした。
彼曰く、劇中の「売れたいわー」というセリフは「売れずに終わっていくのかなと、売れてない芸人が言った本気のセリフ」。
めっちゃ気持ちわかる。涙目でこのエピソードを語る彼。
見ているだけで泣けます。
久保田共々、今回報われて本当に良かった。
あー僕も売れたいわー。(本気のセリフ)
M-1にすべてをかける男
トップバッターとなったゆにばーす、僕は好きでした。
一見左のはらの方がインパクトありますが、実は強烈なのがツッコミの川瀬名人。
彼はM-1に出るためにお笑いを始め、優勝したら引退すると宣言しています。
キャラとかではなく本気。
お笑いを生涯の職にしてる人達からすればふざけんなよと思われるでしょうが、その夢に対して全力を注いでいる姿勢は尊敬。
最近そのとがったキャラが面白がられてバラエティにも出始めましたが、彼のキャラが丸まらないよう祈ってます。
こちら11分30秒あたりから「ヤバイ若手芸人」第一位として出演
ゴッドタン【この若手知ってんのか2017】7月15日 by Adalheita - Dailymotion
いかにもゴッドタンメンバーが好きそうなキャラ。笑
あまりに気に入られて後日特集組まれてます。超おすすめ。
ゴッドタン ゆにばーす川瀬名人で30分 9月9日 by Mariko - Dailymotion
男たちの熱い想い
スーパーマラドーナは今回敗者復活を制し、決勝ラウンドへ。
強面の方の武智がしきりに「M-1への想いは誰にも負けへん!」と叫んでいたのが印象的でした。
ボケでもなんでもない、嘘偽りのない熱い想い。
こっちの胸も熱くなったぜ…。
そしてその横でしきりにKYなボケをする田中。
この人の場合はガチの天然でしょう。
コンビっていうのはこうしてバランスをとってるんですね。
そして今回僕が一番胸を打たれたのがジャルジャル。
敗退が決まって今にも泣き崩れそうな福徳(右)を横に、審査員と絡んで笑いを取っていた後藤(左)。
福徳「お前ようボケれんな…」
相方の状況を見て、後藤は自分がしっかりせなあかんと気丈に振舞ったんでしょうね。
なんてコンビ愛…。
直後のネット番組で、福徳は号泣してしまったそう。
お前ら、ほんとに熱いぜ…。
物議を醸した審査
前回に引き続き炎上したのが、審査員の上沼恵美子。
マヂカルラブリーに「あんたらよう決勝残ったな」と公開説教。
正直あれはただのパフォーマンスでしょうし、上沼もマジカルラブリーも話題になってWin-Winな結果に。
ただ個人的に気になるのは、審査員それぞれの点数の幅が違いすぎること。
博多大吉らが1点刻みに点数を付けていってるのに対し、上沼やダウンタウン松本は上下の点数の幅が広い。
これは一票の格差を生み出します。
つまり点数の幅の広い審査員の票がより価値を持つ。
彼らが気に入る漫才をする必要があるわけです。
この辺りの基準を統一しないと、公平な審査にはなりません。
テレビ番組としてはこういうアクロバティックな点を付けてくれる方が盛り上がるんでしょうが。
なぜM-1に感動するのか
なぜ音楽家の僕がM-1に感動するのか。
それはCompetitorの気持ちがわかるから。
Competitor、つまり賞レースの参加者の心理状態というのは極めて特殊です。
自分が一生懸命準備して練りに練った芸を人前で披露し、審査員それぞれの価値観の元に点数を付けられ、他人と比べられる。
その結果次第で、その後スターダムにのし上がるか、一生売れないまま消えていくかが決まる。
しかもそのレースに参加できるリミット(年齢や芸歴など)があり、それまでに星の数ほどの倍率の中で結果を残さなくてはいけない。
これらのプレッシャーは、参加者の精神を極限状態にまで追い込みます。
自分が自分でなくなるような感覚。
そんな状態であることを観ている人に微塵も悟られず、場の空気を読みながら冷静に、かつアグレッシブに立ち向かうには、相当なメンタルコントロールが出来ないと無理です。
あの場に立ってるのもやっと。重圧に押しつぶされてしまいます。
オリンピック選手のそれともかなり近いと思いますが、彼らは金メダルがゴール。
それに対して芸人や音楽家のコンテストというのは、優勝がスタート。
つまりコンテストでいい結果を出さないと始まりすらしないのです。
もちろん優劣の話ではありませんよ。
そんな重圧と戦い、何としてでも世に行こうとする芸人たちの強い思いが、彼らの背後からにじみ出ているんですよね。
そのあたり、コンクールを受ける音楽家に通じるものがあるんじゃないでしょうか。
残念ながらそのほとんどの想いは報われません。
それでも彼らはこの一瞬に、文字通り人生を全て賭けてるんです。
そんな熱い思いを表現する方法が「お笑い」というのはなんともアイロニックですね。
まとめ
M-1グランプリ。話芸の祭典。
たった数分間に人生の全てを賭けた者たちの熱き戦い。
彼らの努力が報われる日を応援しつつ、僕自身も頑張ろうと、改めて勇気をもらいました。
ありがとうM-1。
…お笑いについての記事なのに、ネタや笑いに一切触れないというスタンスね。
賞取ってもバラエティに呼んでもらえないパターンの芸人やわ、わたし。