僕が今度ブカレストに行くと言えば、返ってくる言葉はいつもこうだった。
「大丈夫?」そして二言目が「気を付けて。」
口コミで耳にする評判は散々。
「町が暗い」
「空港で金をおろしてたら後ろからナイフを突きつけられる」
「無理やりぼったくりタクシーに乗せられる」
「バスや地下鉄はスリだらけ」
「狂犬病持ちの野犬が町中をうろうろしてる」
「偽警官が観光客をカモにしている」
「偽警官だと思ったら本物の警察で、公務執行妨害で連行された」
悪評のエレクトリカルパレードや。
実際、日本人の女子大生が巻き込まれた陰惨な事件も、記憶に新しい。
一方で「東欧のパリ」というなんだかこじゃれたあだ名も目にする。
先月旅した東欧の果てで、男が目にしたものとは…。
ドラキュラの国、ルーマニア
一分でわかるルーマニア
ヨーロッパの東端にある「ローマ人の国」を意味する国。
北にハンガリー、ウクライナ、東に黒海、南にブルガリア、西にセルビアと、ピンとくるんだかこないんだかわからないところにある。
公用語はルーマニア語。
かつてオスマン帝国の支配下にあったが、1878年完全独立、「ルーマニア王国」となった。
しかし第二次世界大戦に枢軸国側として参戦、ソ連にボコられ王政廃止、戦後共産化。
戦後は悪名高き?チャウチェスクによる独裁政権が続き、東側ながら西とも交流のある独自の地位を築く。
しかし貧困に国民が苦しむ中、「国民の館」なる巨大宮殿を建築するなど贅の限りを尽くしたことで、1989年に民主化デモが勃発。
デモへの武力行使を拒否した国防相が暗殺されると、ついに国軍までもがチャウチェスクに反旗を翻し、激しい戦闘の上ルーマニア全土を占領。
世にいうルーマニア革命である。
チャウチェスクを処刑し、民主主義政権が樹立され今に至る。
ドラキュラの国
有名な吸血鬼ドラキュラのモデルになった人物は、15世紀に実在したワラキア公国の君主、ヴラド3世。
人呼んで串刺し公。怖すぎる。
領内での粛清も多く、あえて斬首でなく串刺し刑を採用していたところかららしい。
その畜生エピソードを挙げると
・有力貴族を酒宴に招き、酔ったところを皆殺し。
・治安維持と病気流行を抑えるため、病人やジプシーを集めて焼き殺す。
・祖国の流儀だと帽子を取らない使者に「その流儀を徹底させてやる」と頭に帽子を釘で打ち付ける。
ド畜生やん。
ドラキュラとは彼のニックネーム。
ルーマニア語で「竜の息子」という意味。かっけえ…。
ブラム・ストーカーの小説「吸血鬼ドラキュラ」の主人公のモデルとされ、世界的に有名になる。
なお吸血鬼を指す英語はVampire。
ドラキュラはただの個人名だからね、間違えないように。
ここ試験に出るよ。
東欧のパリ、ブカレスト
いぶし銀な個性を放つルーマニアの首都。
伝説の羊飼いブクルからその名がとられたという説が有力だそう。
伝説の羊飼いて。
戦前は優雅で洗練された建築物により「小パリ」と呼ばれていたものの、
これら建物の多くは戦争とチャウチェスク政権の影響で多大な損害を受けた。
しかし被害を免れた歴史的建造物や、それぞれの時代の変遷を残した街並みは、いまだにヨーロッパ屈指の美しさをたたえる。
東欧の経済、交通の中心地として大きく経済発展を遂げた一方、高い犯罪発生率、ストリートチルドレンは大きな社会問題。
ただし犯罪発生率はかなり減少傾向にあるよう。
今回とある用で僕はこの町に2週間ほど滞在した。
これから訪れる人のために、次回はその経験を紹介しようと思う。